ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

ラムジーの処遇について

 今日は私の大好きなラムジーについてです。


 ラムジーほどアーセナルファンの見解を二分する選手はいないでしょう。昨シーズンの彼は、優秀なフィニッシャーではあった一方、ビルドアップにはあまり貢献せず、守備の面でも戻りきれない場面が散見されました。

 そのため、彼はファンによる年間最優秀選手に選出された一方で、彼を起用するべきではないとのファンの意見も相当あるように思います。


 まず、彼の能力を冷静に分析してみましょう。彼は精度は並であるものの強烈なシュート力を持っています。そしてディフェンスラインの裏にタイミングよく飛び出すセンス、ディフェンスラインとボランチの間のスペースに入り込むセンスも持っており、昨シーズンは得点を量産しました。

 パス能力については平均的であるものの、スルーパスは得意にしており、タイミングよく適切なスペースに良いパスを出しています。また、彼はチャレンジ志向が強く、ダイナミックまたはトリッキーなプレイを交えて予想外のパスを出し、相手ディフェンス陣を混乱させることもあります。一方で、彼は、全体を見渡したような効果的な中長距離のパスはあまり出せませんし、リスク管理面が甘く、カウンターを招くような軽率なパスというのも少なくありません。

 ドリブルについては 、フィジカルを生かしつつ、キープすることはできますが、スピードがあるわけではなく、相手をドリブルで抜き去るようなプレイは得意ではありません。

 守備については、運動量、フィジカルを活かしたタックルなど中盤に求められる守備能力については比較的高い能力を有していると思います。ラムジーの守備については、その守備能力そのものというよりも、守備に戻っていないという点が批判対象ですが、これについてはヴェンゲルの戦術か指示不足が原因の可能性も高く、ヴェンゲル以外の監督下でのプレイを見ずに評価するのはフェアではないと思います。

 そして、運動量は、明らかにプレミアリーグトップクラスで、かなりの上下動を繰り返すことができます。


 以上の特徴を踏まえてラムジーのポジション適性を考えてみます。まず明確なマーク対象となってしまうワントップやウインガーではスピードで相手を振り切ることもできず、そのスペースを嗅ぎ分ける能力も発揮しにくいので向いておらず、その得点力を活かすためには、トップ下や三列目が向いています。一方で、ビルドアップの場面では効果な中長距離のパスが出せないばかりか、逆に軽率なプレイでピンチを招くおそれもあります。とすると、ラムジーの最適なポジションは、トップ下または4123の2などのインサイドハーフになると思います。そして、人気やエンターテイメント性を除外し、試合への影響力だけを純粋に見れば、ラムジーは、得点力、守備力の低いエジルよりもトップ下として優れていると私は思います(さらにいえば、ラムジーよりもミキタリアンの方がトップ下として適性があると思います。ただ彼は、エジル、ラムジーとは違い、右サイドプレイヤーとしても優秀であり、アーセナルの現在のメンバー構成でチーム力を最大化するにはエジル又はラムジーをトップ下、ミキタリアンを右サイドとするのは理に適っていると思います。)。


 ラムジーは、今シーズン末で契約終了となるにも関わらず、未だ延長に至っていません。これについてのファンの意見は様々だと思いますが、大きく分けると、①大幅昇給させても延長したい、②多少の昇給であれば延長したい、③昇給など考えられず放出した方がよいの三つでしょう。私は②です。多少の昇給がどこまでかという点ですが、私としてはラムジーはトップ下として能力的にミキタリアンに及ばないと考えていますし、リーグが違ったとはいえ実績にしてもミキタリアンに及びません。したがって、チームメイト間の不公平感を出さないためにもミキタリアンの週給(17万ポンドと言われています)を超えるような額では契約すべきではなく、それを超えるような週給を求めるのであれば放出もやむを得ないと考えています。


 では、アーセナルは、契約延長に至っていないラムジーを今後どう扱うべきでしょうか。私としては、今のアーセナルは、現在の結果を求めるチーム作りではなく、将来を見すえたチーム作りをすべき時期であり、来年度いるかいないか分からない選手には極力依存するべきではないと考えています。また、昨シーズンのエジルに続いて今シーズンまで契約延長していない選手を重宝するようなことがあれば、悪しき伝統として残り、最終年に延長も移籍金を残す移籍もせずにチームに残る者が今後も多く出かねません。したがって、契約延長をしない限り、ラムジーはベンチ要員としてエジル等のバックアッパーとして控えさせて欲しいと思っています。また当然キャプテンにも任命すべきではありません。

 第一節にラムジーをトップ下で起用しつつ、第二節でベンチスタートとしたエメリの采配がそれぞれどういう意図でされたかは分かりませんが、私はトップ下ラムジーが機能するかもっと見てみたいという欲望に駆られつつも、エメリの第二節の采配を支持します。

 今後、エメリがラムジーの処遇をどうするのか(ヴェンゲルのように起用して機嫌をとろうとするのか、冷遇等するのか)、ラムジーの去就とチームへの影響はどうなるのか、エメリを含むアーセナルフロント陣のピッチ外でのマネジメントに興味が尽きません。

8月18日 対チェルシー戦 レビュー

スタメンは


オバメヤン

イウォビ エジル ミキタリアン

ジャカ ゲンドゥージ

モンレアル パパ ムスタフィ ベジェリン

チェフ


の4231でした。


 スタメンで予想と違ったのは、イウォビ、ジャカ(怪我復帰のモンレアルは除外。)。ジャカはともかく、ラムジーを外してイウォビは予想外でした。

 イウォビを起用したというのは、個人のポジション適性よりも序列を重視していたベンゲルとは違う合理的な選択で好印象です。もっとも、個人的には、トップ下は、エジルを外してラムジーの方が結果が出ると思ってます。とはいえ、ラムジーは契約延長しておらず、来年以降のことを考えると、現時点ではラムジーを中心に据えるというのもリスクがあり、ラムジーではなくエジルを起用したことに不満はありません。ジャカについては、その能力への信頼というよりかは、ベンゲル体制下の不動のレギュラーを十分にチャンスを与えずにレギュラーから外して、ベンゲル体制下の主要メンバーの反発を招くのを避けたいという判断でしょう。

 試合内容ですが、序盤チェルシーのハイプレスに苦しみ、2失点。その後、チェルシーが省エネモードに入ってプレスが緩んだところで2点返して同点となったものの、後半は本気モードのチェルシーのハイプレスに押し込められてほとんど前に進むこともできないなか 、アザールに右サイドを崩されて失点し、試合終了でした。

 ビルドアップに関し、ジャカは前節に続きこの試合でもほとんど存在感を示すことはできずに前半でトレイラと交代でした。ジャカは相手をかわすことができない上、判断が遅いのか余裕がないといいパスがほとんど出せないので、ハイプレス全盛期のプレミアリーグのボランチは合わないように思います。それにしても、いくら後方から組み立てるといっても、ここまで前線に人数を配置してハイプレスをしてくる相手であれば、ロングボールを蹴って、競ってこぼれたところを拾って一気に攻撃するパターンもオプションに持っていないと厳しいと思います。負けたことは全然気にしてませんが、その点はエメリには早急に改善策を講じて欲しいものです。

 また、攻撃に関しては、トップ下に入ったエジルはほとんどボールに触ることができずにラムジーと交代でした。エジルについては何もできなかったので当然評価できませんが、この試合ではいつものようにペナルティエリアの外を漂うだけではなく、自身もペナルティエリア内に入っていく姿勢が普段より見えたような気がしました。エジルに限らず、サイドからボールが入ってくるときにはそれぞれがエリア内に入るということがベンゲル時代よりも徹底されており、当然の動きと思いますが、顕著に改善された点でしょう。

 守備については、ベジェリンの右サイドが何度も攻略されました。ベジェリンに限らず、アーセナルのディフェンス陣は全体的に釣られる動きが多い印象であり、対人守備ではなく組織的な攻撃に対する守備戦術をもう少し磨いて欲しいところです。


 各選手の評価は


オバメヤン 5.0

イウォビ 5.5

エジル 4.5

ミキタリアン 5.5

ジャカ 4.5

ゲンドゥージ 6.0

モンレアル 5.5

パパ 5.0

ムスタフィ 5.5

ベジェリン 5.0

チェフ 5.5


トレイラ 5.0

ラムジー 5.5

ラカゼット 5.0


 エメリは、前節全く駄目であったジャカにもう一度チャンスを与えるような配慮を持ちつつも、接戦の展開でエジルだろうとパフォーマンスが低い者は途中交代させる決断力を持っており、現在のところ、ベンゲル時代から混乱なく改革を果たすのに適した監督だと思います。次の試合ではどの選手を選ぶのか非常に楽しみです。

チェルシー戦スタメン予想

予想スタメン


オバメヤン

エジル ラムジー ムヒタリアン

トレイラ ゲンドゥージ

リヒト パパ ムスタフィ ベジェリン

チェフ


 前節からナイルズとジャカだけ変わるだけと予想。

 まず攻撃陣。ラムジーは起用しないと契約延長に影響する可能性があるのでスタメン起用すると予想。また、ムヒタリアン以外、まともにサイドで能力発揮できるメンバーはいないのでムヒタリアンもスタメンで起用されると予想。次に、フォワードのファーストチョイスと思われるオバメヤンもスタメンと予想。あとは、ラカゼット、エジルですが、たぶんエジルでしょう。したがって、前線は前節と同じメンバーになると予想しますが、エジルのサイドが機能していたとは言い難いので、ラムジーがサイド、エジルがセンターを試してみる可能性もあるかもしれません。

 続いて、守備陣。ボランチは、前節、試合が進むに従って攻守に安定してきたグエンドゥージが引き続きチャンスが与えられると予想。一方、前節いいところのなかったジャカに代えてトレイラが先発と予想。ディフェンダー陣は、ナイルズよりもリヒトシュタイナーの方が攻守に存在感を発揮していたため、ナイルズの怪我の程度に関わらず、モンレアルが間に合わなければリヒトシュタイナーが左サイドバックのスタメンと予想。その他は前節と同様。キーパーはチェフに不安はありますが、途中交代が基本的にないキーパーを一節の出来で判断してサブに落とすとは思えないので、引き続きチェフと予想。