ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

開幕戦以来のクリーンシート(2019/10/06 ボーンマス戦)

 2019/10/06のホームでのボーンマス戦は、前半8分にコーナーキックから先制すると、その1点を最後まで守りきり、1-0で勝ちました。

 Understat.comによるxGでも1.24-0.68でアーセナルが上回りました(ただし、終了間際のオーバメヤンのオフサイドとなるはずのシュートがなければほぼ同じxGでした。)。

 今シーズンのアーセナルについて守ることができない守備的なチームなどという悲しい批判もありましたが、今節では、一応守り切って、プレミアリーグで開幕戦以来のクリーンシート達成です。


フォーメーションについて

 この試合のアーセナルのフォーメーションは、低い位置でのディフェンスの配置を重視すれば下記フォーメーションのとおり、4-2-3-1でした。


ただし、高い位置でのプレッシングやオフェンスではジャカが中央に残ってグエンドージが前に出ていったので、それらの場面では4-3-3に近い配置でした。



プレッシング、ライン設定について

 この試合のアーセナルは、前線の選手にグエンドージを加えたメンバーで、オフェンシブサード後方からミドルサードで激しいプレスをかけました。一方、最終ラインは、ボールがミドルサードまで入ると、急速にリトリートし、ボールがいったん後方に戻されても押し上げはほとんどしませんでした。そのため、前線の選手がミドルサードに入るまでにボールを奪い切ってしまえばいいですが、センターライン手前辺りまでボールを進められると、相手にかなりのスペースを与えた状況でプレスをしなければならないという前線の選手に多大な運動量が要求される戦い方になってしまいました。そして、その結果として、セカンドハーフでは前線の選手の運動量がかなり落ちてしまっていたと思います(交代は63'ぺぺ→マルティネリ、75'セバージョス→ウィロック、83'サカ→トレイラ)。

 ソクラティス、ダビドルイスのCBペアはこれまでのところラインを低目に設定しているようですが、これはペース不足を気にしているのでしょうか(昨シーズン見た限り、ソクラティスは速いイメージがあったものの、カラムウィルソンにペースで負けていたように見えました。)。怪我から復帰してきたホールディングも足が速いというイメージはなく、インターナショナルウィーク後、CBのコンビをどうするのか、ディフェンスラインの高さの設定をどうするのかが気になります。



守備ブロックについて

 ディフェンシブサードにおける守備は、4-4-2の守備ブロックを作るのではなく、4-2-3-1のまま、WGのぺぺ及びサカが相手フルバックを、10番セバージョスが相手CMをケアするというのを基本としつつ、ボールがアウトサイドレーンに運ばれた際には当該サイドを担当するWGが中盤ラインに加わって4-3の守備ブロックを作っていたと思います。

 アーセナルのこのような守備は、前半は前線の選手の運動量のおかげもあってか効果的で、ボーンマスをシュート3本、オンターゲット0本に抑え込みました。しかし、後半になると、まずぺぺの守備が怪しくなりだした上、ボーンマスの2人のCMの攻撃参加が増えてきたことでセバージョス1人での対応が難しくなりました。結果、シュート7本、オンターゲット2本と前半よりも危険な場面が増えました。それでもボーンマスのxGは一試合を通じて0.68と低く、この試合に限っていえば守備は一応機能していたと思います。



ビルドアップについて

 今節の一般的なビルドアップでは、相手の4-4-2のツーストライカーの2枚のプレスに対し、ジャカが2人のCBの間又はLCBであるダビドルイスの左に落ちてきて、2人のCBにジャカを加えた3枚の数的優位を作り出してビルドアップする場面が頻繁に見られました。

 この試合でも若干見られましたが、リバプール戦から気になっているのは、ダビドルイスのディフェンシブサードからのロングボールの多さです。グアルディオラが「ボールを速く送るほど、ボールは速く戻ってくる」と言っているように、カウンター的にディフェンシブサードからオフェンシブサードに素早くロングボールを送ると、チャンスにはなるものの、最終ラインと前線の距離が伸びてしまい、奪われた際に中盤が間延びして逆カウンターを受けるリスクが大きくなります。

 バーンリー戦のようにコンパクトにしてくる相手に対してミドルサードから相手の最終ラインの裏をつくロングボールはバシバシ蹴って欲しいですが、試合をコントロールするのであれば、エメリは、カウンター的なディフェンシブサードからのロングボールをもう少し減らすよう指示する必要があると思います。



ゴールキックについて

 下記配置図は、51'13"のアーセナルのゴールキック時の選手配置です(画面から見切れてる部分は推測です。)。


 この試合までアーセナルは、ゴールキックにおいて、フルバックをペナルティボックスの高さに配置していました。しかし、この試合では、当初からセンターライン手前の高い位置にフルバックを配置して、ゴール付近にはレノ、ダビドルイス、ソクラティス、ジャカの4人だけを配置していました。

 レノは、この配置でボーンマスのプレスを警戒して、ショートパスではなく、ロングボールを蹴っていました。これらのロングボールについて、最終的にアーセナルが確保することも少なくはなく、いい判断だったと思います。ワトフォード戦で勝点を落とす前から、無理せず、こうして欲しかったです。

 ただし、レノは単に大きく蹴り出すことが多かったものの、コラシナツが比較的フリーな場面があり、一度コラシナツに通した場面のようにミドルレンジのパスを入れるパターンももっと増やせればなお良かったです。



総評

 今節は、アーセナルのxGが1.24であるようにチャンスはあまり作れませんでした。しかし、相手のxGを0.68に抑えていることからすれば、まずは守備を整えて、そこから攻撃を考えるというチーム作りの王道のセオリーには沿っており、決して悲観ばかりしなければならないものではないと思います。エメリには、今後、この試合のように失点を抑えつつ、いかにそこから得点をとるかについて戦術を練って欲しいと思います。

 これで8試合終えて、4勝3分1敗の勝点15P、13得11失点です。これはシーズン38試合だと、71.9P、61.8得点、52.3失点になるペースです。昨シーズンは、70P、73得点51失点でしたので、得点以外は昨シーズン並のペースになったことになります。インターナショナルウィーク後には怪我から復帰した選手もプレミアリーグで見られそうなので、期待しています。

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