ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

完敗(2019/12/15 マンチェスターシティ戦)

 2019/12/15のホームでのマンチェスターシティ戦は、前半に3点を奪われ完敗でした。UnderstatのxGでも0.28-1.70で負けていました。


フォーメーションについて

 今節のフォーメーションは下記のとおり、4-2-3-1(4-4-1-1)でした。

 メンバーは怪我のティアニー、ジャカに代えてコラシナツ、グエンドージを入れた以外は久しぶりに勝った前節ウエストハム戦と同じメンバーでした。ナイルズのFBとしての能力には疑問がありますが、良いときは下手に変えないのが鉄則なので、メンバー選考は理解できるものだったと思います。


守備について

 カウンタープレスはしていたものの、ハイプレスをするわけではなく、4-4-2守備ブロックで待ち受ける守備戦術でした。

 いつも言っていますが、プレスの連動性がなく、簡単にピッチ中央の選手に通されていました。全員でプレスに行っても意味がなく、ちゃんとパスコースを塞いで欲しいです。

 また、4-4-2の守備ブロックも連動性がなく、すぐ形が崩れていました。



攻撃について

 ビルドアップはスピード感にかけていました。エメリ解任直後の試合のビルドアップにはスピード感があったのにそれが失われているのが気になります。

 ゴール前でもワンタッチプレイなどのスピード感あるプレイは少なく、アーセナルのシュートは6本、xGは0.28とほとんどチャンスらしいシュートシーンを作れませんでした。



交代について

 0-3となった直後の40'に怪我のコラシナツに代わりサカを投入しました。59'にエジルに代えてスミスロウ、81'にトレイラに代えてウィロックを投入しました。

 スミスロウ、ウィロックの投入は、勝ちを諦めて将来を見据えての起用でしょうか。



総評

 完敗です。

 また、今節コラシナツが負傷したことで、LBがいなくなりました。コラシナツはモンレアルがいた頃もモンレアルが怪我をしたときに怪我で起用できないことが多かった印象で残念です。次節は、バックスリーでLWBにサカを起用でしょうか。



今後について

 アーセナルは新監督模索中ですが、幹部がアルテタと面接したということでアルテタが監督になる可能性が高そうです。アルテタは監督としての実績がなく、監督にするのはギャンブルのような気がしますが大丈夫でしょうか。

 誰が監督になるにせよ、もう4位以内がかなり難しい状況からすれば冬の移籍市場でも人員整理を進め、来季以降を見据えた選手起用をして欲しいです。ほとんどの人から賛同を得られないのを承知で言えば、私は昨シーズン開幕直前に笑気ガスを吸って遊んでいたコラシナツ、エジル、ラカゼット、オーバメヤンは順次(一気にではありません。)放出していくべきだと思っています。正直、1つでも勝ちたいと考えている選手らのすることだとは思えませんし、将来有望な若手に悪影響を与えかねません。そのため、まずは高給与自体がチーム補強の足かせとなっているエジル、契約期間満了が近づきつつあるオーバメヤンらにいい話があるのであれば1月に売却し、CB、若手有望株のフィジカル系CFに投資して欲しいです。

どん底とそこからの脱出(2019/12/5ブライトン戦、2019/12/9ウエストハム戦)

ブライトン戦について(あっさりと)


 2019/12/5のホームブライトン戦は、前半にブライトンに先制を許すと、後半に一度は同点に追いついたものの、追加点を奪われ、1-2で敗れました。これでプレミアリーグ直近7試合を3分4敗とどん底です。


フォーメーションについて

 フォーメーションは、下記のとおり4-2-3-1でした。


 メンバーは前節からチェンバースに代わって怪我から復帰したベジェリンが入ったほか、グエンドージに代わってトレイラ、ムスタフィに代わってソクラティスが入りました。トレイラ、ソクラティスを選んだのはビルドアップよりも守備の強化を狙ったものだと思います。


攻撃について

 バックからのビルドアップを志向したものの、うまくいかず、CBダビドルイスからのロングボールが目立ちました。


守備について

 守備はトレイラが一列上がって4-1-4-1の守備ブロックを形成し、プレッシングをしていました。

 前からはめようという意識はあるものの、プレッシングのタイミングが合わず、空回りしていました。


選手交代

 0-1の46'にウィロックに代えてぺぺ、1-1の72'にコラシナツに代えてティアニー、1-1の77'にラカゼットに代えてマルティネリが投入されました。

 ぺぺ、マルティネリの投入の意図は攻撃陣の活性化ということで分かりますが、コラシナツに代えてティアニー投入の意図はどういうことでしょうか。ここでFBのティアニーを投入するぐらいであれば、最初からティアニーで良かったのではないかと思いました。





ウエストハム戦について


 2019/12/9のアウェイのウエストハム戦は、ウエストハムに先制を許し、重苦しい雰囲気が漂っていましたが、60'にマルティネリが同点ゴールを決めると、66'にぺぺ、69'にオーバメヤンがゴールを奪い、1-3で快勝しました。

 UnderstatのxGでも0.52-1.79でアーセナルが勝っていました。

 プレミアリーグでは実に2019/10/2ボーンマス戦以来8試合ぶりの勝利で、どん底から脱出しました。



フォーメーションについて

 フォーメーションは下記のとおり、4-2-3-1でした。


 メンバーは怪我のベジェリンに代わってナイルズが入ったほか、ダビドルイスに代わってチェンバース、ウィロックに代わってマルティネリ、ラカゼットに代わってぺぺが入りました。

 最終ラインにソクラティス、チェンバース、ナイルズの3人が入るのは、1-0で勝った開幕戦のニューキャッスル戦以来です。



攻撃について

 バックからのビルドアップを志向しましたが、なかなか前には進めず、低い位置でソクラティスとチェンバース間でパス回しをすることが多かったです。ボールポゼッションはアーセナル65%であるにもかかわらず(sofascore)、アクションエリアはアーセナルのディフェンシブサード42%、ミドルサード39%、オフェンシブサード19%で、CBチェンバースがタッチ数が114回、パス数が105回といずれもチームトップを記録してしまいました(Whoscored)。このようにビルドアップという点ではかなり問題があり、特にソクラティスのビルドアップは見ていて不安でした。

 もっとも、その他のポジショニングバランスについては良好で、下記のアーセナルの選手の平均ポジションを見ても、適切な距離感が保たれていたと思います。




守備について

 前節はCMトレイラを上げて4-1-4-1守備ブロックを作りましたが、今節は素直に4-2-3-1の守備ブロックでした。

 相変わらず、最終ラインが低く、前線のプレスは空回りしていた印象です。ウエストハムがライン上げすぎで、そのおかげでアーセナルが得点できたのでバランスが難しいのは分かりますが、あと少しは上げてほしいところです。



選手交代

 29'に負傷したティアニーに代えてコラシナツ、86'に負傷したジャカに代えてグエンドージ、88'にぺぺに代えてネルソンが投入されました。

 怪我で2枠使っていることもあり、至って普通の交代でした。

 


総評

 勝って自信を取り戻すことが重要だったので、とりあえず、ウエストハムに勝てて良かったです。まずは、それが一番です。いや、本当に良かった。

 さて、スタメン落ちしたラカゼットですが、残念ながらラカゼット、オーバメヤンの同時起用をやめたのは良かったと思います。両名はストライカーであって、程度の差はあれ、組み立ての貢献は少なく、同時起用はチャンス創出の弊害になると思います。非常にもったいないですが、前線はしばらくは今節のメンバーを基本としていって欲しいです。

 また、中盤ですが、昨シーズン同様、ジャカ、トレイラのペアがもっとも安定するように思えます。多くの方がトレイラにアンカーとしての役割を期待していますが、トレイラは適切なタイミングでゴール前に走り込むことができ、アーセナルにはそういったプレイができる選手が他にいない現在は、攻守に貢献できる役割での起用で良いと思います。

 一方、最終ラインについては再考の余地がありそうです。ダビドルイスの代わりにチェンバースを使ってもスピード不足は変わりませんし、ラインもかなり低かったと思います。一方、ソクラティスはボールを持ったときのプレイがかなり怪しく、もっとプレッシャーの激しいチームとの対戦では狙われかねません。CBは誰を使っても一長一短ですが、①スピード重視であればソクラティス、ムスタフィ、②スピードとビルドアップの総合であればムスタフィ、ホールディング、③ビルドアップ重視であればダビドルイス、ホールディング、チェンバースから2人といったところでしょうか。もっとも、今回結果が出ているので、次節は下手にいじるより同じペアで良いと思います。

リュングベリ初陣(2019/12/1 ノリッジ戦)

 2019/11/29にエメリ監督が解任されました。アーセナルは、エメリ解任前のプレミアリーグにおいて4勝6分3敗と苦しんでおり、特に最近5試合は3分2敗と勝ちに見放されていたので解任も致し方がないところです。ただ、一部ファンの過激なエメリ批判がチームパフォーマンスを悪化させていた可能性もあり、非常に残念でした。

 最後まで真摯な姿勢で臨んでいたエメリには今後プレミアリーグ以外で活躍してくれることを願います。また、暫定監督であるリュングベリ及び後任監督にはまずはバラバラとなっているように見えるチームをしっかりとまとめて欲しいと思います。


 さて、2019/12/1のアウェイのノリッジ戦は、リュングベリ暫定監督の初陣でした。この試合、アーセナルは攻守で積極的に仕掛けましたが、ノリッジにカウンターで先制されました。その後、同点に追いついたものの、またしてもノリッジの速攻で失点しました。それでも、再度同点に追いついたものの、終盤はスタミナ切れで逆にノリッジに押され気味でした。

 このように常に追いかける苦しい展開だったものの、これまで以上に積極的な姿勢が見られ、Understat.comのxGでは、0.81-1.96でアーセナルが勝っていました。次の表は、xGのタイミングチャートですが、ノリッジには可能性があまり高くない位置からのシュートを決められており、運がなかった面も大きかったと思います。




フォーメーション

 フォーメーションは上記のとおり、4-2-3-1でした。

 前節の3-4-1-2から4-2-3-1に変更されてディフェンダー枠が減ってアタッカー枠が増えたのに伴い、怪我のベジェリンが外れ、ウィロックが入りました。

 そのほか、ソクラティスに代わってムスタフィ、トレイラに代わってジャカ、ティアニーに代わってコラシナツが入りました。ソクラティスに代わってムスタフィが入ったのはビルドアップ能力を考慮したものだと思います。トレイラに代わってジャカが入ったのもビルドアップや展開力を考慮したのではないかと思います。一方、コラシナツが入ったのはティアニーの疲労を考慮したのでしょうか、それとも現状LBとしてコラシナツの方が上との判断でしょうか。ムスタフィ、ジャカを入れたことについて疑問の声をあげる人もいますが、能力という点ではソクラティス、トレイラなどと比べ劣っているわけではなく(実際、ムスタフィ、ジャカが抜けたアーセナルが良くなったという印象はないです。)、狙いも踏まえれば特段不可解な選択ではないと思います。

 個人的にはオーバメヤンを右サイド、エジルを左サイドに配置したのが興味深かったです。順足に配置することで、シンプルにプレイしやすくしたかったのか、中央に入りすぎるのを防止したかったのかなど、その意図が気になります。



攻撃

 ビルドアップはバックからのビルドアップを志向しました。エメリ時代よりも素早くパスを回そうという意識が明らかにみてとれ、前半はノリッジの前プレを比較的かわせており、良かったと思います。ムスタフィはビルドアップに限れば起用の意図を感じさせるプレイができていました。

 一方、オフェンシブサードの最後の局面ではあと一歩アイディアが足りず、ノリッジを崩し切る場面は少なかったと思います。個人的には、エジルが復帰直後からパフォーマンスが低下していっているように見えるのが気になります。エジルのキーパスのスタッツは高いように見えますが、Understatでシチュエーション別の今シーズンのエジルのスタッツを見ると、キーパスはオープンプレイが3、コーナーキックが9、セットピースが2で、ほとんどがリスタートからのもので、今節もオープンプレイからは目を引くプレイができていませんでした。セバージョスが離脱中である以上、エジルの復調が待たれます。また、CMであるジャカ、ゲンドゥージは、相手を崩すためにどこかでリスクを犯す必要があり、タイミングをみて、もっとゴール前に飛び込んでシュートを打ったり、相手のマークを引きつける動きをして欲しいです。



守備

 ハイラインを敷いてハイプレスで勝負する意識がありました。もっとも、CBのムスタフィ、ダビドルイスは相手の速攻でペナルティエリア内まで簡単に相手に侵入を許してしまう上、1対1で強いわけでもなく、ハイラインのデメリットがもろに出ていました。能力的な要素も大きいようにも思え、今後の戦術理解の浸透次第でどうにかなるものだろうかとやや不安です。

 ディフェンシブサードにおける守備は、基本フォーメーションである4-2-3-1のままの守備でした。この守備はCMの左右にスペースができますが、エメリ時代よりも2-3の部分がコンパクトでスペースを小さくしていました。また、相手がボールを下げた場合には全体的に押し上げて相手をゴールから遠ざけようとするなどの動きがこれまで以上にできており、その点は改善を感じました。



選手交代

 2-2の同点の70'にウィロックに代えてトレイラが投入されました。これは危ない場面の多かった守備の強化を図ろうとしたものだと思います。

 78'にはグエンドージに代えてサカ、89'にはエジルに代えてマルティネリが投入されました。いずれも攻撃の強化を図ったものでしょうが、ぺぺよりもサカ、マルティネリの方が期待できるという判断なのか気になります。


 


リュングベリ暫定監督の指揮について

 この引き分けで早くもリュングベリの指揮にがっかりしている人もいますが、いくらなんでも2日でどうこうできるわけはありません。暫定であるリュングベリがどこまで監督を続けるか分かりませんが、すぐに結果を出せないのが普通だと思いながら見た方がいいと思います。むしろ、わずか2日ほどでビルドアップは改善の兆しを見せるなどポジティブな面があり、ファンの方から良い雰囲気を作っていって欲しいと思います。



後任監督選びについて

 これからアーセナルは後任の監督選びをスタートさせるわけですが、まず、アーセナルが目指すべき方向性を定め、それにあった監督を選んで欲しいです。それに当たり、アーセナルはどのようなスタイルを目指すべきでしょうか。

 まず、マンチェスターシティのようにパスを繋げてポゼッションしてハイライン陣形を整えるハイプレスポゼッションスタイル(説明の便宜のための勝手な命名です。以下、同じ。)を目指すべきでしょうか。ベンゲル後期のアーセナルはこのスタイルを目指していたように思え、そのためこのスタイルこそがアーセナルのアイデンティティーであると認識しているファンも多いように思えます。しかし、このスタイルを実現するためには各ポジションに視野が広く高いテクニックを有する選手を集める必要があります。そして、こういった視野が広く高いテクニックを有する選手は獲得費用も維持費も高額になりがちです。また、このスタイルは、相手とレベル差があれば高い勝率が期待できるものの、対等レベルか上位レベル相手には苦戦しがちです。とすると、他のビッグクラブにマネーパワーで太刀打ちできず、真のトップクラスの選手を集められないアーセナルでは、強豪には分が悪い闘いを強いられそうです。そして、それがまさにベンゲル末期だったのではないでしょうか。とすると、現戦力でハイプレスポゼッションスタイルを目指すのは限界がありますし、将来的にも目指すスタイルとは思えません。

 次にリバプールのようなハイプレスショートカウンタースタイルはどうでしょうか。これは選手にそこまで高いテクニックは求められず、ハイプレスポゼッションスタイルと比べれば、選手獲得及び維持にかかる金銭的な負担は少なそうです。しかし、この戦術は、ハイライン陣形を整えることよりも素早く攻めることを優先するため、ハイプレスポゼッションスタイルよりもカウンターを受けるリスクはさらに高く、ハイラインを維持するCBには足が早く、1対1に強い選手が特に求められます。また、ミッドフィルダーにはテクニックよりもスタミナ、フィジカルが求められます。この点、アーセナルには足が速く、1対1が信頼できるCBはいませんし、ラムジーの抜けたMFもスタミナ、フィジカルを兼ね備えた選手はほとんどいません。とすると、ハイプレスショートカウンタースタイルは、将来的にはハイプレスポゼッションスタイルよりも期待できそうですが、現在はCBもMFもあまり向いている選手が多いとはいえない状況です。

 最後に、リトリートロングカウンタースタイルはどうでしょうか。これは前線にカウンターが得意な選手が求められますが、各ポジションに能力の高い選手が必要というわけではなく、選手の獲得費や維持費の面では、一番安価です。また、この戦術は、低い位置で人数をかけて守るため守備陣に足の速さやそこまでの1対1の強さは求められません。とすれば、個々の守備力に難がある現在のアーセナルには一見合っているようにも思えます。しかし、ロングカウンターにはボールをキープするか、ドリブル突破が得意なロングカウンター向きのFWが必要であるところ、残念ながらオーバメヤンもラカゼットもそれらを得意とするFWではありません。実際、今シーズンのエメリアーセナルは、リトリートロングカウンタースタイルを採用しようとしていたように見えますが、ロングカウンターが決まったことは少なく(決まったことありましたっけ?)、結果は散々でした。また、ベンゲル時代のポゼッションスタイルを見てきたファンの一部は対極的なリトリートロングカウンタースタイルをなかなか受け入れられないかもしれません。

 以上からすれば、私は、問題はあるものの当面はアーセナルはハイプレスショートカウンタースタイルを目指してみるべきで、それにあった監督を選ぶべきだと思います。



 最後に、ネタとして守備、フィジカル重視思考の私が考える希望スターティングイレブンを述べます。

希望スターティングイレブンは上記の4-4-1-1です。

 驚異のCB4人、FB2人起用で、エメリよりも守備的ですね(笑)でも、フィジカルとスタミナがあって、攻撃大好きでダイレクトプレイを好む、そんなチェンバースにはラムジーみたいに8番でプレイをさせてみたいです。

 まあ、あり得ないでしょうけど。