レスター戦 マッチレビュー
10月22日のレスター戦のアーセナルのスターティングイレブンは
ラカゼット
イウォビ エジル ミキタリアン
ジャカ トレイラ
リヒト ホールディング ムスタフィ ベジェリン
レノ
で、フォーメーションは4231でした。また、守備時は、
イウォビ ジャカ トレイラ ミキタリアン
リヒト ホールディング ムスタフィ ベジェリン
で4-4のブロックを組む守備戦術でした。
開始後はレスターのアーセナル対策と思われるスリーバックのポジションとイウォビ、ラカゼット、ミキタリアンのポジションが噛み合ってしまい、前線でフリーとなる選手が少なく、レスターにペースを握られました。そして、前半30分には相手のグラウンダーのクロスがベジェリンの足に当たって軌道が変わってしまいオウンゴールとなりました(0-1)。
しかし、アーセナルは、ここからインテンシティが高くなり、高い位置からボールを奪って試合を支配し始めました。そして、後半終了間際には、エジルがボールをベジェリンにパスし、ベジェリンがスリーバックとセントラルミッドフィルダーの間のスペースに走り込んだエジルにグラウンダーのクロス、エジルがこれに合わせてボールをゴール左隅に流し込んで同点に追いつきました(1-1)。
後半になると、アーセナルがボールを保持し、チャンスをうかがいますが、ゴール前を固めるレスター相手になかなか決定機を作り出せませんでした。60分過ぎにリヒトシュタイナー、ミキタリアンに代えてオーバメヤン、グエンドゥージが投入されると、下記のとおり、ジャカを左バックに配置するという驚きのフォーメーションがとられました。
ラカゼット
オーバメヤン エジル イウォビ
グエンドゥージ トレイラ
ジャカ ホールディング ムスタフィ ベジェリン
すると、その直後、レスター陣内でボールを回してチャンスをうかがていたところで、右大外からえぐるように飛び出したベジェリンにエジルがスルーパス、ベジェリンがグラウンダーのクロスを放つと、逆サイドからフリーで飛び出してきたオーバメヤンが合わせて、アーセナルが2-1と逆転しました。
さらに、それから数分後、ハーフウェイライン手前左からのフリーキックから、グエンドゥージ、トレイラ、ベジェリン、グエンドゥージ、ベジェリン、ムスタフィ、レノ、ホールディング、ジャカ、トレイラと自陣内を時計回りに一周させると、ここから加速し、エジル、グエンドゥージ、ベジェリン、エジル(スルー)、ラカゼット、エジル、オーバメヤンと繋いで鮮やかな連携で追加点を奪って3-1としました。
80分頃にエジルに代えてラムジーを投入すると、エジルはスタンディングオベーションで迎えられました。その後、アーセナルは危なげなく切り抜け、3-1でプレミアリーグ7連勝を果たしました。
これまでアーセナルは、連勝していたとはいえ、試合内容では負けていたり、拮抗していることが多くありました。しかしこの試合では、内容的にもアーセナルがレスターを上回るパフォーマンスを見せていました。それを裏付けるようにチームの得点期待値(xG)も2.92 対0.93となっています(サイトによってxGが異なるのはどうしてでしょうか。)。
このような高いパフォーマンスを発揮できた点としてハイプレスというエメリ監督の戦術が少し機能し始めたことがあげられると思います。一方、ビルドアップについては、初期よりも改善されているものの、この試合でも前半はレスターのプレスに苦しめられました。技術の差を運動量でカバーされやすい前半もビルドアップが十分こなせるようになればアーセナルはさらに高パフォーマンスをみせれるようになると思います。
個人の評価ですが、オーバメヤンは60分過ぎに交代出場すると、30分の間に逆転ゴール、試合を決定づける追加点を奪い、ストライカーとして輝きました。いずれも簡単なシュートに見えますが、それはオーバメヤンのポジション取りが素晴らしいということだと思います。これまでのオーバメヤンのゴールから考えても、オーバメヤンは本当にゴールの嗅覚というか、ポジション取りがうまい選手だと思います。
また、エジルは、同点ゴールを奪い、2点目の起点となり、3点目のアシストもするなど、まさに10番ロールとして期待される役割を果たしました。エジルはこれで今季のプレミアリーグで3点目であり、まだ数試合とはいえ、エメリ監督になり、得点意識への改善が見られるような気がします。チャンスメイク能力には疑いの余地のないエジルがこのペースで得点もしていければアーセナルにとって素晴らしいシーズンになりそうです。継続性が課題とされる選手だけに今後も同様のパフォーマンスを示せるかに注目です。
また、ベジェリンはオウンゴールがあったとはいえ、あれは不運であり、ベジェリンを責めることはできませんし、攻撃面ではクロスで2アシストを決めるなど、右サイドで存在感を発揮していました。
最後、結果が残せていないので高くは評価しませんが、イウォビは何度も高いドリブルテクニックで局面を打開する印象的なプレイを見せていました。イウォビはここ数試合同様のパフォーマンスを継続的に発揮しており、成長が如実に見てとれます。これらのプレイを得点に直結できる場面で効果的にできれば、凄い選手になれると思うので、今後のさらなる成長に期待大です。
レーティングは以下のとおり。
レノ 6
ベジェリン 7
ムスタフィ 6
ホールディング 5
リヒトシュタイナー 5
トレイラ 7
ジャカ 6
ミキタリアン 6
エジル 9
イウォビ 6
ラカゼット 6
オーバメヤン 9
グエンドゥージ 6
ラムジー 6
この試合、ほとんどの人がエジルをマン・オブ・ザ・マッチに選出すると思いますが、私はオーバメヤンを選出します。エジルのパスするかのようなシュート、広い視野に基づく美しいスルーパス、意表をついたスルーなど、今日のエジルはかつてのアーセナルを思い起こさせるエキサイティングなプレイを体現しており、私も誰のプレイに一番興奮したかと問われれば、エジルを選出します(ちなみに次点には、素晴らしいドリブルテクニックを披露したイウォビ)。しかし、フットボールは得失点を争うスポーツであり、短いプレイ時間で決勝ゴールと2点差に突き放すゴールの2得点を上げた選手の方がわずかながら価値が高いと思います。
これで2試合続けてオーバメヤンが途中出場から2得点を上げてみせました。こうなると、今度はオーバメヤンをスタートから使わなくてはならないのではないかという問題にエメリ監督は直面しているのではないでしょうか。ラカゼット、オーバメヤン、エジルを同時起用するとしたら、4231にしてオーバメヤンに守備をさせるのか、442にしてエジルに守備をさせるのか難しい判断となりそうです。