ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

リュングベリ初陣(2019/12/1 ノリッジ戦)

 2019/11/29にエメリ監督が解任されました。アーセナルは、エメリ解任前のプレミアリーグにおいて4勝6分3敗と苦しんでおり、特に最近5試合は3分2敗と勝ちに見放されていたので解任も致し方がないところです。ただ、一部ファンの過激なエメリ批判がチームパフォーマンスを悪化させていた可能性もあり、非常に残念でした。

 最後まで真摯な姿勢で臨んでいたエメリには今後プレミアリーグ以外で活躍してくれることを願います。また、暫定監督であるリュングベリ及び後任監督にはまずはバラバラとなっているように見えるチームをしっかりとまとめて欲しいと思います。


 さて、2019/12/1のアウェイのノリッジ戦は、リュングベリ暫定監督の初陣でした。この試合、アーセナルは攻守で積極的に仕掛けましたが、ノリッジにカウンターで先制されました。その後、同点に追いついたものの、またしてもノリッジの速攻で失点しました。それでも、再度同点に追いついたものの、終盤はスタミナ切れで逆にノリッジに押され気味でした。

 このように常に追いかける苦しい展開だったものの、これまで以上に積極的な姿勢が見られ、Understat.comのxGでは、0.81-1.96でアーセナルが勝っていました。次の表は、xGのタイミングチャートですが、ノリッジには可能性があまり高くない位置からのシュートを決められており、運がなかった面も大きかったと思います。




フォーメーション

 フォーメーションは上記のとおり、4-2-3-1でした。

 前節の3-4-1-2から4-2-3-1に変更されてディフェンダー枠が減ってアタッカー枠が増えたのに伴い、怪我のベジェリンが外れ、ウィロックが入りました。

 そのほか、ソクラティスに代わってムスタフィ、トレイラに代わってジャカ、ティアニーに代わってコラシナツが入りました。ソクラティスに代わってムスタフィが入ったのはビルドアップ能力を考慮したものだと思います。トレイラに代わってジャカが入ったのもビルドアップや展開力を考慮したのではないかと思います。一方、コラシナツが入ったのはティアニーの疲労を考慮したのでしょうか、それとも現状LBとしてコラシナツの方が上との判断でしょうか。ムスタフィ、ジャカを入れたことについて疑問の声をあげる人もいますが、能力という点ではソクラティス、トレイラなどと比べ劣っているわけではなく(実際、ムスタフィ、ジャカが抜けたアーセナルが良くなったという印象はないです。)、狙いも踏まえれば特段不可解な選択ではないと思います。

 個人的にはオーバメヤンを右サイド、エジルを左サイドに配置したのが興味深かったです。順足に配置することで、シンプルにプレイしやすくしたかったのか、中央に入りすぎるのを防止したかったのかなど、その意図が気になります。



攻撃

 ビルドアップはバックからのビルドアップを志向しました。エメリ時代よりも素早くパスを回そうという意識が明らかにみてとれ、前半はノリッジの前プレを比較的かわせており、良かったと思います。ムスタフィはビルドアップに限れば起用の意図を感じさせるプレイができていました。

 一方、オフェンシブサードの最後の局面ではあと一歩アイディアが足りず、ノリッジを崩し切る場面は少なかったと思います。個人的には、エジルが復帰直後からパフォーマンスが低下していっているように見えるのが気になります。エジルのキーパスのスタッツは高いように見えますが、Understatでシチュエーション別の今シーズンのエジルのスタッツを見ると、キーパスはオープンプレイが3、コーナーキックが9、セットピースが2で、ほとんどがリスタートからのもので、今節もオープンプレイからは目を引くプレイができていませんでした。セバージョスが離脱中である以上、エジルの復調が待たれます。また、CMであるジャカ、ゲンドゥージは、相手を崩すためにどこかでリスクを犯す必要があり、タイミングをみて、もっとゴール前に飛び込んでシュートを打ったり、相手のマークを引きつける動きをして欲しいです。



守備

 ハイラインを敷いてハイプレスで勝負する意識がありました。もっとも、CBのムスタフィ、ダビドルイスは相手の速攻でペナルティエリア内まで簡単に相手に侵入を許してしまう上、1対1で強いわけでもなく、ハイラインのデメリットがもろに出ていました。能力的な要素も大きいようにも思え、今後の戦術理解の浸透次第でどうにかなるものだろうかとやや不安です。

 ディフェンシブサードにおける守備は、基本フォーメーションである4-2-3-1のままの守備でした。この守備はCMの左右にスペースができますが、エメリ時代よりも2-3の部分がコンパクトでスペースを小さくしていました。また、相手がボールを下げた場合には全体的に押し上げて相手をゴールから遠ざけようとするなどの動きがこれまで以上にできており、その点は改善を感じました。



選手交代

 2-2の同点の70'にウィロックに代えてトレイラが投入されました。これは危ない場面の多かった守備の強化を図ろうとしたものだと思います。

 78'にはグエンドージに代えてサカ、89'にはエジルに代えてマルティネリが投入されました。いずれも攻撃の強化を図ったものでしょうが、ぺぺよりもサカ、マルティネリの方が期待できるという判断なのか気になります。


 


リュングベリ暫定監督の指揮について

 この引き分けで早くもリュングベリの指揮にがっかりしている人もいますが、いくらなんでも2日でどうこうできるわけはありません。暫定であるリュングベリがどこまで監督を続けるか分かりませんが、すぐに結果を出せないのが普通だと思いながら見た方がいいと思います。むしろ、わずか2日ほどでビルドアップは改善の兆しを見せるなどポジティブな面があり、ファンの方から良い雰囲気を作っていって欲しいと思います。



後任監督選びについて

 これからアーセナルは後任の監督選びをスタートさせるわけですが、まず、アーセナルが目指すべき方向性を定め、それにあった監督を選んで欲しいです。それに当たり、アーセナルはどのようなスタイルを目指すべきでしょうか。

 まず、マンチェスターシティのようにパスを繋げてポゼッションしてハイライン陣形を整えるハイプレスポゼッションスタイル(説明の便宜のための勝手な命名です。以下、同じ。)を目指すべきでしょうか。ベンゲル後期のアーセナルはこのスタイルを目指していたように思え、そのためこのスタイルこそがアーセナルのアイデンティティーであると認識しているファンも多いように思えます。しかし、このスタイルを実現するためには各ポジションに視野が広く高いテクニックを有する選手を集める必要があります。そして、こういった視野が広く高いテクニックを有する選手は獲得費用も維持費も高額になりがちです。また、このスタイルは、相手とレベル差があれば高い勝率が期待できるものの、対等レベルか上位レベル相手には苦戦しがちです。とすると、他のビッグクラブにマネーパワーで太刀打ちできず、真のトップクラスの選手を集められないアーセナルでは、強豪には分が悪い闘いを強いられそうです。そして、それがまさにベンゲル末期だったのではないでしょうか。とすると、現戦力でハイプレスポゼッションスタイルを目指すのは限界がありますし、将来的にも目指すスタイルとは思えません。

 次にリバプールのようなハイプレスショートカウンタースタイルはどうでしょうか。これは選手にそこまで高いテクニックは求められず、ハイプレスポゼッションスタイルと比べれば、選手獲得及び維持にかかる金銭的な負担は少なそうです。しかし、この戦術は、ハイライン陣形を整えることよりも素早く攻めることを優先するため、ハイプレスポゼッションスタイルよりもカウンターを受けるリスクはさらに高く、ハイラインを維持するCBには足が早く、1対1に強い選手が特に求められます。また、ミッドフィルダーにはテクニックよりもスタミナ、フィジカルが求められます。この点、アーセナルには足が速く、1対1が信頼できるCBはいませんし、ラムジーの抜けたMFもスタミナ、フィジカルを兼ね備えた選手はほとんどいません。とすると、ハイプレスショートカウンタースタイルは、将来的にはハイプレスポゼッションスタイルよりも期待できそうですが、現在はCBもMFもあまり向いている選手が多いとはいえない状況です。

 最後に、リトリートロングカウンタースタイルはどうでしょうか。これは前線にカウンターが得意な選手が求められますが、各ポジションに能力の高い選手が必要というわけではなく、選手の獲得費や維持費の面では、一番安価です。また、この戦術は、低い位置で人数をかけて守るため守備陣に足の速さやそこまでの1対1の強さは求められません。とすれば、個々の守備力に難がある現在のアーセナルには一見合っているようにも思えます。しかし、ロングカウンターにはボールをキープするか、ドリブル突破が得意なロングカウンター向きのFWが必要であるところ、残念ながらオーバメヤンもラカゼットもそれらを得意とするFWではありません。実際、今シーズンのエメリアーセナルは、リトリートロングカウンタースタイルを採用しようとしていたように見えますが、ロングカウンターが決まったことは少なく(決まったことありましたっけ?)、結果は散々でした。また、ベンゲル時代のポゼッションスタイルを見てきたファンの一部は対極的なリトリートロングカウンタースタイルをなかなか受け入れられないかもしれません。

 以上からすれば、私は、問題はあるものの当面はアーセナルはハイプレスショートカウンタースタイルを目指してみるべきで、それにあった監督を選ぶべきだと思います。



 最後に、ネタとして守備、フィジカル重視思考の私が考える希望スターティングイレブンを述べます。

希望スターティングイレブンは上記の4-4-1-1です。

 驚異のCB4人、FB2人起用で、エメリよりも守備的ですね(笑)でも、フィジカルとスタミナがあって、攻撃大好きでダイレクトプレイを好む、そんなチェンバースにはラムジーみたいに8番でプレイをさせてみたいです。

 まあ、あり得ないでしょうけど。

×

非ログインユーザーとして返信する