ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

エメリはそこまで悪くない(2019-2020シーズン中盤戦前半の展望について)

 プレミアリーグは序盤の8戦を終えてインターナショナルブレイクに突入しました。現時点でのアーセナルのプレミアリーグでの成績は4勝3分1敗の15Pで3位とまずまずの成績をあげています。エメリへは第5節ワトフォード戦の不甲斐ないパフォーマンスから一気に解任論が噴出しましたが、内容はともかくその後を2勝1分で切り抜け、解任論もやや収束してきたように思えます。


 さて、今シーズンが開幕するに当たって、私は、昨シーズンのデータから序盤のアーセナルの成績を左右するのはRBのナイルズである旨述べましたが、結構当たっていたのではないでしょうか。結局、彼のパフォーマンスは上がらず、アーセナルのパフォーマンスも不安定でしたが、第7節からナイルズに代わってチェンバースがRBのポジションを得ると、まだ2試合とはいえ、試合内容が安定してきたように思えます。

 これからインターナショナルブレイク明けには、いよいよそのRBにベジェリンが復帰してくるほか、LBティアニー、CBホールディングらも復帰してくるので、シーズン中盤戦前半のアーセナルの展望についてデータを踏まえて簡単に予想したいと思います。


 まず、LBのティアニーですが、初挑戦のプレミアリーグであって活躍の程度を推し量れるようなデータはありません。ただし、ELのスタンダールリエージュ戦を見る限りは、概ね適切な守備が期待でき、攻撃では多彩なクロスも期待できそうです。一方、現在のLBを務めるコラシナツは適性はウイングバックであってフルバックとしては守備に難があり、昨シーズンコラシナツがフルバックとして出場した試合のアーセナルは4勝3分2敗(平均勝点1.67P)の低パフォーマンスでした。正直、今季開幕戦から2試合LBを務め、昨シーズンフルバックとして出場した試合においては8勝2分3敗(平均勝点2.00P)のモンレアルをわずか3m€ほどで放出したアーセナルの判断は理解できませんでした。そのような状況なので、今後、ティアニーが出場することになれば、アーセナルの勝点のペースが上がることはあっても下がることはなさそうです。

 また、ベジェリンは言うまでもなくRBのファーストチョイスであり、昨シーズンのベジェリンの先発出場した18試合は11勝4分3敗(平均勝点2.06P)なのに対し、先発出場していない20試合は10勝3分7敗(平均勝点1.65P)でした。チェンバースのRBが機能すればアーセナルの勝点ペースが上がるのは当然ですが、チェンバースのRBが十分に機能しなかった場合であっても近くベジェリンが復帰するので、アーセナルの勝点のペースが上がると予想します。

 一方、ホールディングについては、彼をCBの救世主のように期待している方もいますが、ホールディングは昨シーズンの9試合で活躍しただけで、しかも5勝4分(平均勝点1.89P)で、他のCBであるソクラティス(平均勝点1.84P)、ムスタフィ(平均勝点1.83P)よりも圧倒的だったというわけではありませんでした。そのため、ホールディングに期待が集まるのは理解できますが、過剰な期待は禁物です(言ってることとは逆にかなり期待してしまっている自分への戒めです)。


 今シーズンのこれまでのエメリの選手選考の傾向と怪我人の復帰を踏まえた今後のスターティングイレブンを考えると

が基本になるのではないかと思われます。

 両WGのプレスバック意識の低さ、2CMの守備能力の低さ、CBのスピード不足が若干気にはなるものの、目立った穴のないメンバー構成だと思います。チーム内で能力の低い選手こそが勝敗に影響するスポーツであると言われるフットボールにおいて穴の少ない選手構成はかなりの強みであり、中盤前半戦のアーセナルは怪我人がでなければこれまで以上の成績を残してくれるものと予想します。


 なお、ジャカの代わりにトレイラを底で起用することを希望する方も多いですが、エメリが167cmの身長を考えてトレイラ起用を躊躇するのは一応理解できます。よく引き合いに出されるカンテも2015-2016のレスターでも2016-2017のチェルシーでも2CMの8番的に使われており、3CMのDMやオフェンス時に後方待機する6番的なCMとして使われていたわけではありませんでした。また、アーセナルは空中戦が強い選手が少なく、セットプレーやコーナーキックの守備を考えてもジャカを外してトレイラというのはリスクがあるように思えます。そのため、個人的には、トレイラはグエンドージと8番の役割を競わせ、ジャカとは昨シーズンにレンタル先のフラムでCMとして活躍したチェンバースを競わせて欲しいと思っています。なお、空中戦、守備、ビルドアップ、攻撃参加のバランスを考えるとジャカ+トレイラかチェンバース+グエンドージの組み合わせが良さそうに思えます。

 また、私としては、RBとしては残念ながら十分なパフォーマンスを示せなかったナイルズを今後どこのポジションで起用していくのかが気になります。ナイルズは、ELのスタンダールリエージュ戦では右WGとして起用されていましたが、これからも同ポジションで使われるのでしょうか。ナイルズは当たりに弱くはなく、WGに慣れればネルソンよりも活躍できるような気もします。色々なポジションがこなせるばかりに最も適性の高いポジションで使われてこなかったのは不運であり、彼の得意とするポジションでチャンスをあげて欲しいです。


 最後にここまでのエメリへの私の評価について述べます。正直、ワトフォード戦で失点するまでショートパスによるゴールキックからのビルドアップに無策のまま固執したことはいただけませんでした。被シュート数が話題になっていましたが、ゴールキックになってもチャンスが続くのですから相手が躊躇なくシュート撃ってくるのは当然です。このようにエメリに対して不満はありますが、総合的にみればそこまで悪くはなかったと思います。

 試合内容が悪く、アーセナルが現在3位につけているのは運が良かっただけだという批判はそのとおりだと思います。しかし、そもそも客観的にみれば、アーセナルは、我々アーセナルファンが思っているほど強力なスカッドを持っているわけではないと思います。今シーズンのアーセナルはスターティングイレブンに若手のサカ、ネルソン、ウィロック、グエンドージ、ナイルズらから常時2~4人ほどが名前を連ねていますが、彼らは少なくとも開幕時点でプレミア上位レベルの選手とは言い難かった上、他リーグ等での実績があるとはいえぺぺ、セバージョスはプレミア初挑戦であって、アーセナルのスカッドは中堅クラブのスカッドとたいして変わりなかったと思います。しかも、中核的な選手の放出が多かったため、序盤のアーセナルはむしろ不利な状況にあったとすら言えそうでした。したがって、試合内容が悪かったというのは戦力に照らして致し方がない面も多かったと思います。むしろ、これをうまくやりくりして序盤戦を切り抜け、若手や新加入選手をプレミアになれさせつつ、3位に位置しているというのはなかなか素晴らしいと思います。中核となる選手の出入りが激しい中堅クラブで実績を上げたエメリの本領がまさに発揮された序盤戦だったと言えるのではないでしょうか。

 今後エメリに期待することですが、ハイプレス&ショートカウンターは機能しているものの、リトリート&ロングカウンターに切り替えた場合には攻守ともに上手くいっているとは言い難いと思います。ですので、エメリには、今後、リトリートのタイミングの判断、リトリート時の守備ブロック、ロングカウンターの精度及びロングカウンターにかける人数と失敗直後の守備方法の改善に取り組んで欲しいです。

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