ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

プレミアリーグベスト101からみえるアーセナルの戦力

 今回は、アーセナルの戦力について述べたいと思います。

 エメリ解任を強硬に主張する人らは、基本的にアーセナルのスカッドが強力であることを前提にエメリを強く非難しているように思います。しかし、ファンは応援している選手を過大に評価しがちであり、私は、冷静に判断すればアーセナルのスカッドは現時点ではそこまで強力ではないと思います。

 最下部に記載している101人の順位表はフォーフォーツゥが2019/9/20に発表したプレミアリーグの選手のベスト101です。アーセナルからは11位オーバメヤン、25位ラカゼット、46位セバージョス、67位グエンドージ、69位ぺぺの5人が選ばれています。ここでこの表から各チームごとにベスト101に入った選手の数を調べると、


01位 シティ      13人  (3位)

02位 リバプール    12人  (1位)

02位 トッテナム    12人  (10位)

04位 レスター     08人  (2位)

05位 チェルシー    07人  (4位)

05位 ユナイテッド   07人  (9位)

07位 ウルブス     06人  (5位)

08位 アーセナル    05人  (8位)

08位 エバートン    05人  (16位)

10位 ボーンマス    04人  (11位)

10位 バーンリー    04人  (7位)

10位 アストンビラ   04人  (15位)

10位 ウエストハム   04人  (17位)

14位 ニューキャッスル 03人  (14位)

15位 ブライトン    02人  (12位)

15位 ノリッジ     02人  (18位)

17位 クリスタルパレス 01人  (13位)

17位 サウサンプトン  01人  (19位)

17位 ワトフォード   01人  (20位)

20位 シェフィールド  00人  (6位)


( )内は2019/11/28現在の順位


となります。

 アーセナルはビッグ6のどこよりもランク入りした選手が少なく、レスター、ウルブスにも負けて、8位にとどまっています。

 このフォーフォーツゥのランク付けは主観的なものですし、ランク外の選手も考慮しなければならないとしても、現在のアーセナルの8位という順位は優秀な選手数に照らして残念ながら順当な順位なのかもしれません。

 また、監督の手腕が絶賛されている2位レスター、4位チェルシーは実は優秀な選手数でもそれぞれ4位、5位の上位につけていたのが分かります。一方、シェフィールドは優秀な選手数が20位であったのに対して現在6位とかなり高い順位につけており、トッテナムは優秀な選手数が2位であったにもかかわらず現在10位とかなり低い順位にとどまっています。




フォーフォーツゥプレミアリーグベスト101

01 ファンダイク     リバプール1

02 スターリング     シティ1

03 デブライネ      シティ2

04 サラー        リバプール2

05 カンテ        チェルシー1

06 アグエロ       シティ3

07 フィルミーノ     リバプール3

08 マネ         リバプール4

09 ハリー・ケイン    トッテナム1

10 ラポルテ       シティ4

11 オーバメヤン     アーセナル1

12 アーノルド      リバプール5

13 ロバートソン     リバプール6

14 ベルナルドシウバ   シティ5

15 アリソン       リバプール7

16 デヘア        ユナイテッド1

17 ソンフンミン     トッテナム2

18 ファビーニョ     リバプール8

19 エデルソン      シティ6

20 マグワイヤ      ユナイテッド2

21 エリクセン      トッテナム3

22 ダビドシルバ     シティ7

23 ヴァーディ      レスター1

24 ヘンダーソン     リバプール9

25 ラカゼット      アーセナル2

26 アルデルヴァイレルト トッテナム4

27 マディソン      レスター2

28 リュカ・ディーニュ  エバートン1

29 ワンビサカ      ユナイテッド3

30 ワイナルドゥム    リバプール10

31 ロドリ        シティ8

32 カラムウィルソン   ボーンマス1

33 ポグバ        ユナイテッド4

34 ネヴェス       ウルブス1

35 ザハ         クリスタル1

36 ヒメネス       ウルブス2

37 ウォーカー      シティ9

38 ティーレマンス    レスター3

39 モウティーニョ    ウルブス3

40 ラッシュフォード   ユナイテッド5

41 アリサバラガ     チェルシー2

42 エンドンベレ     トッテナム5

43 リシャルリソン    エヴァートン2

44 ペレイラ       レスター4

45 マフレズ       シティ10

46 セバージョス     アーセナル3

47 ロリス        トッテナム6

48 フェルナンジーニョ  シティ11

49 チルウェル      レスター5

50 リンデロフ      ユナイテッド6

51 リュディガー     チェルシー3

52 ジェズス       シティ12

53 バーンズ       バーンリー1

54 アケ         ボーンマス2

55 マティプ       リバプール11

56 デレアリ       トッテナム7

57 ジョルジーニョ    チェルシー4

58 エンディディ     レスター6

59 シェア        ニューキャ1

60 セバスチャン・アレ  ウエストハム1

61 ランシーニ      ウエストハム2

62 グリーリッシュ    アストンビラ1

63 プッキ        ノリッジ1

64 ロ・セルソ      トッテナム8

65 ドゥクレ       ワトフォード1

66 シソコ        トッテナム9

67 グエンドージ     アーセナル4

68 ピックフォード    エバートン3

69 ぺぺ         アーセナル5

70 ルーカスモウラ    トッテナム10

71 シュマイケル     レスター7

72 マイケル・キーン   エバートン4

73 プリシッチ      チェルシー5

74 ミルナー       リバプール12

75 ダニーローズ     トッテナム11

76 ポープ        バーンリー2

77 マッギン       アストンビラ2

78 ボリー        ウルブス4

79 フレイザー      ボーンマス3

80 ドゥーブラフカ    ニューキャ2

81 ダビンソン・サンチェス トッテナム12

82 ターコフスキー    バーンリー3

83 エイブラハム     チェルシー6

84 エヴァンズ      レスター8

85 ジンチェンコ     シティ13

86 アンデルソン     ウエストハム3

87 マウント       チェルシー7

88 マルシャル      ユナイテッド7

89 ラッセルズ      ニューキャ3

90 ミングス       アストンビラ3

91 パトリシオ      ウルブス5

92 モイーズ・キーン   エバートン5

93 ライス        ウエストハム4

94 レドモンド      サウサンプト1

95 ヒートン       アストンビラ4

96 キング        ボーンマス4

97 ブエンディア     ノリッジ2

98 シェーン・ダフィー  ブライトン1

98 ルイス・ダンク    ブライトン2

100 ドハーティ      ウルブス6

101 マクネイル      バーンリー4

苦しいときだからこそサポートを(2019/11/23 サウサンプトン戦)

 2019/11/23のサウサンプトン戦は、サウサンプトンに先制されると、同点に追いついたものの、PKで突き放され、アディショナルタイムに同点に追いつくのが精一杯で2-2で引き分けました。


フォーメーション

 前節レスター戦に引き続き、上記のとおり、3-4-1-2でした。

 バックスリーは今シーズン2度目の採用でした(0勝1分1敗)。ツーストライカーシステムは今シーズン6度目(0勝4分2敗)、ツーストライカー+10番のシステムは今シーズン5度目(0勝3分2敗)です。個人的にはツーストライカー+10番のシステムは機能していないのでそろそろ諦めて欲しいです。

 メンバーは、怪我のホールディングに代わってソクラティス、怪我のコラシナツに代わってティアニーがスターティングイレブンに入りました。



守備

 前節レスター戦とは異なり、今節のアーセナルの前線はハイプレスをかけて前からボールを奪いにいっていました。もっとも、前半は、バックラインがある程度突破されると、急激に下がり始めるため、ハイプレスの効果は限定的でした。しかし、後半は失点するまで、バックラインが高く保たれ、プレスが効果を発揮してサウサンプトンを押し込んでいました。この点は素直に評価していいと思います。



攻撃

 Whoscoredによれば、攻撃サイドは、左サイド41%、中央27%、右サイド32%でした。左サイドのティアニーのタッチ数75回はグエンドージの95回に続くチーム2番目で、クロス10本のうち3本を成功させており、攻撃面で一定の貢献を果たしました。今後、エジルらとの連携が高まれば強力な武器になりそうです。

  


選手交代

 1-1の同点の46'にチェンバースに代えてぺぺを投入しました。これは点を取りにいく意思表示であったと思います。フォーメーションは下記のとおりで、非常に攻撃的なメンバーだったと思います。今度はこのメンバーでのスタートを見てみたいです。

 

 また、1-2で1点を追う83'にはトレイラに代えてウィロック、ベジェリンに代えてマルティネリが投入されました。これらはより攻撃的なメンバーを投入しようとするもので、理解できます。ただ、大事な局面で投入するのが、20歳、18歳の選手というのも、アーセナルの選手層の薄さを象徴しています。ラムジー、ウェベックをフリーで失い、高額の移籍金獲得や総給与削減のためイウォビ、ミキタリアンを放出したツケがでてきている状況です。

  



苦しい状況だからこそサポートを

 ジャカへの一部ファンからのブーイングのときからファン、サポーターのあり方について考えさせられています。

 私はチームの財政を潤す顧客とチームを精神的に支えるファン、サポーターとは、異なるものだと思います。ファン、サポーターとは、チームが最大限の力を発揮できるようチーム、選手を応援してサポートする人らだと思います。一方、チーム、選手への激しい批判ばかり繰り返してチームに悪影響を及ぼしているにもかかわらず、金を払っている自分にはその権利があるというのはサポーターではない顧客の理論だと思います(自分の子どもへのサポートを考えてみて下さい。子どもに対する批判は犯罪にならない限り自由かもしれません。しかし、自由であることとそれがサポートとして適切かは別問題です。)。

 私は、十数年前頃からなんとなくアーセナルを応援しているだけのライトなファンにすぎませんが、アーセナルがこれまでで一番苦しい状況だからこそ、より声を大きくして応援したいです。そして、理想論かもしれませんが、そういうファンが世界中で増えていって欲しいです。


 なお、選手がエメリを信頼しておらず、全力を尽くしていないかのようなことを言っている人がいますが、私は試合を見て、全力を尽くしていない選手などいないように見えました。ゴール後のパフォーマンスが話題となったラカゼットも全力を尽くして点を取ろうとしていたように思います。彼がゴール後に喜びのパフォーマンスをしなかったのはエメリのせいではなく(彼がエメリを信頼しているかは置いておいて)、同点で喜べば過激な批判家から辛辣な批判をされるからだと思います。

タイトな守備を見せるも力負け(2019/11/09 レスター戦)

 2019/11/09のアウェイでのレスター戦は、アーセナルが前半タイトな守備をみせたものの、後半67'に先制されてしまうと守備に集中するのが難しくなって追加点を奪われ、2-0で敗れました。Understat.comのxGでも1.37-0.96でアーセナルが負けていました。



フォーメーション

 アーセナルはこの試合で下記フォーメーションのとおり3-4-1-2のフォーメーションで臨みました。

バックスリーはプレミアリーグでは今節が今シーズンで初めての採用でした。ツーストライカーシステムは今シーズン5度目(0勝3分2敗)、ツーストライカー+10番のシステムは今シーズン4度目(0勝2分2敗)です。

 前節の4-3-1-2からは、怪我のセバージョスが外れたほか、ソクラティス、ティアニーが外れてベジェリン、ホールディング、コラシナツがスターティングイレブンに入りました。ベジェリンはようやく怪我から復帰できて良かったです。ソクラティスが外れたのは今シーズンこれまでビルドアップに難があったからでしょうか。ティアニーが外れたのは、バックスリーであれば、コラシナツの方が適任と考えられたいったところでしょうか。



守備戦術

 今節のアーセナルは、ハイプレスを控え、3-4の守備ブロックを作り、エジルがエンディディをマンマークし、二人のストライカーもボールの後ろまで下がって守るという守備戦術をとりました。前半は、非常にタイトな守備だったと思います。アーセナルの最終ラインは低いためハイプレスを控えたのは、中盤の間延びを防止するため良かったと思います。下図のxGでも、前半は、レスターを0.43に押さえてアーセナルが勝っており、アーセナルの守備は成功していました。

 ただし、個人的にはディフェンシブサードを4-3守備ブロックだろうと3-4守備ブロックだろうと7人で守るのはアーセナルの守備のメンバー的に無理があると思っており、エメリには素直に4-4守備ブロックにして欲しいです。今季のアーセナルは、オーバメヤンを中盤の守備ブロックに入れないフォーメーションや守り方を採用していますが、エメリはオーバメヤンを中盤の守備ブロックに組み込むのがそんなに嫌なのでしょうか。



攻撃戦術

 アーセナルの各選手のポジショニングは下図のとおりです。

 アーセナルがカウンターを狙っていたためもありますが、前節は小さくなった前線の選手と中盤の選手との距離がまた広くなっているのが分かりますし、グエンドージとコラシナツがまったく押し上げができていないのが分かります。

 一方、下図はレスターのものですが、各選手がほぼ等間隔に位置している上、5レーン理論で重要とされる◇が3つ、さらに△も5つできており、非常に美しい形をしています。

この選手のポジショニングの成熟の差がまさにオフェンス力の差となったのではないかと思います。



選手交代

 2点目を取られると、77'にホールディングに代えてぺぺ、80'にトレイラに代えてウィロックを投入しました。いずれも攻撃を強化する目的の妥当な采配だったと思います。交代枠は1名余っていましたが、ベンチのアタッカーにはサカ、マルティネリの若手しかおらず、交代する選手がいないのがアーセナルの選手層の薄さを物語っています。



総括

 守備はタイトで良かったと思うので、今回はレスターが強かったと言わざるを得ません。もともとレスターはビッグ6に次ぐ戦力で、今季のアーセナルの主力の放出(ラムジー、モンレアル、ミキタリアン、イウォビ等)に伴い現時点では立場が逆転してしまい、正直、力負けです。ただし、アーセナルは、今後ホールディングやベジェリンがさらに良くなっていくでしょうし、若手が伸びるはずですので、シーズン後半のホームでは勝つことを期待です。

 これで12試合終えて、4勝5分3敗の勝点17P、16得点17失点です。これはシーズン38試合だと、54P、51得点、54失点になるペースです。昨シーズンは、70P、73得点51失点でしたので、全てにおいて昨シーズンよりも悪化するペースになります。もっとも、今節みせた守備はタイトで、これを継続できれば勝点も上がると思うので、めげずに頑張って欲しいです。