ニューキャッスル戦のゴールキックの考察
開幕戦であるニューキャッスル戦は1-0でアーセナルが勝ちました。エジル、コラシナツを事件の影響で欠いていた上、補強した選手は獲得から間がなかったり、調整不足であったり、怪我だったりでスタートから使うこともできず、実質的に昨年よりも戦力ダウンした状態であったにもかかわらず勝つことができて良かったです。
ニューキャッスル戦は勝てて良かったですが、ゴールキックからのリスタートがうまくいっていないように見えるのが気になりました。そこで、今回は、ニューキャッスル戦のゴールキックからのリスタートについて述べたいと思います。なお、ゴールキックについては今シーズンからルールの変更があり、これまでキッカーしかペナルティエリア内に入れなかったのが、ゴールキック側の選手はペナルティエリア内に入れるようになりました。
ニューキャッスル戦のゴールキック時における各選手の位置関係は概ね下記図のとおりだったと思います。
アーセナルのゴールキックのうち、ショートパス等でつなごうとしたシーンのボールの動きは次のとおりです。
01:46
レノ→チェンバース→レノ→ジャカ→ネルソン✕
12:16
レノ→ジャカ→ウィロック ✕
16:43
不明→ミキタリアン ✕
39:06
レノ→チェンバース→ミキタリアン ✕
56:35
レノ→ジャカ ロング ✕
64:54
レノ→チェンバース→オーバメヤン ロング ✕
おそろしいことにすべて失敗でした。このうち最初の2回についてはジャカのパスミスといえるもので、もう少しでつなげそうでしたが、残りについては相手にはめられたと言わざるを得ませんでした。
私は、ゴールキックを注目して見たことがなく、こんなにつなげないのは選手の配置のミスなんじゃないかと思い、4231を採用していたマンチェスターユナイテッドの対チェルシー戦のゴールキックを見てみました。すると、ユナイテッドの配置は概ね下記図のとおりで、フルバックの位置の高低はあったものの、アーセナルとかなり似た配置になっていました。そのため、アーセナルの選手配置はおそらくオーソドックスなものなのだろうと思います。
ユナイテッドもゴールキックからの組み立てには苦労しているように見えましたが、
40:41
デヘア→リンデレフ→デヘア→ポグバ→リンデレフ→ペレイラ→ポグバ→マクトミネイ→ショウ
とつないだ場面では、きれいにチェルシーのプレスをかわしました。このときポグバ、ペレイラはいずれもダイレクトでボールを落としていました。
アーセナルとユナイテッドのプレイなどから考えると、
①アーセナルは基本的にはGKレノから右CBにパスが出される
②右CBの選手が組み立ての舵取りになるので、視野の広さ、パスセンス、パスの正確性が求められる
③ゴールキーパーもパス回しに参加させると効果的
④グエンドージのポジション及びミキタリアンのポジションの選手にはくさびのプレイの正確性が求められる
と思われます。
この点、まだ、チェンバースの視野、パスセンス、パスの正確性は分かりませんが、ダビドルイスはボールの扱いがうまいと聞いており、このポジションでダビドルイスを使ったときにアーセナルのゴールキックからのリスタートがどうなるのかは知りたいところです。
また、アーセナルはフルバックの位置が低かったのですが、これだと相手ウイングバックを引き連れて来てしまっていたと思われる上、フルバックの2人、CMの2人の合計4人が同じくらいの高さにいることになり、相手からすればその高さでプレスをかけやすいのではないかと思います。(正直ゴールキックについて考えたことはなく、よく分からないので、今後、フルバックの位置等をほかのチームはどうしているのかよく見ていきたいと思います。)
ところで、マンチェスターシティでは、ゴールキックのたびに選手の配置が違ったものの、基本はCB1名とGKが観音開きのように軽く開き、そのCBがゴールキックを蹴っていました。アーセナル及びユナイテッドの方法だと、中央エリアにGK、左右のハーフスペースにCBがおり、同一の水平ラインの隣り合ったレーンに3人もいる状態で、無駄に人をかけているように思います。これに対し、マンチェスターシティは、ゴールキーパーをフィールドプレーヤー化して同一の水平ラインの人数を2人に減らし、その分選手を前方に割いており、合理的に思えます。