ライトファンから見たアーセナル

素人が偉そうにアーセナルの戦術を語ります

ムスタフィ売却は得策ではない

 先日、アーセナルがムスタフィの売却で数クラブと交渉しているとのオーンスタインの指摘がありました。ムスタフィといえば軽率なミスが多く、プレシーズンマッチでは味方ファンからブーイングがあったそうです。日本のアーセナルファンにもムスタフィを売却して次のセンターバックなどの獲得資金にすべきと主張している人は少なくないように思います。しかし、私は現時点でムスタフィを放出するのは得策ではないと思います。


 まず、そもそもムスタフィはミスが多いものの、総合的に見て悪いディフェンダーでしょうか。昨シーズンのプレミアリーグのムスタフィが先発出場した試合とそうでない試合を見てみると、


ムスタフィが先発出場した試合

 31試合(17勝8敗6分)    57P

 先発出場試合当たりの勝点  1.84P


ムスタフィが出場していない試合

 7試合            13P

 先発しない試合当たりの勝点 1.86P


となります。このデータからすると、ムスタフィが出場していようといまいと、アーセナルの勝点はほぼ変わっておらず、ムスタフィはアーセナルのセンターバックとして平均的な勝点への影響力を持っていたと思われます。


 なお、ほかのアーセナルのセンターバックを見ていきますと、


ソクラティス

 25試合先発出場 14勝7敗4分 46P

 先発出場試合当たりの勝点  1.84P


コシェルニー

 13試合先発出場 6勝5敗2分 20P

 先発出場試合当たりの勝点  1.54P


ホールディング

 9試合先発出場 5勝4分   17P

 先発出場試合当たりの勝点  1.89P


マヴロパノス

 3試合先発出場 2勝1敗   6P

 先発出場試合当たりの勝点  2.00P


でした。マヴロパノスのデータはサンプルの試合が少ないのであてにならないとして、ムスタフィは、ホールディング、ソクラティスとほぼ同等の勝点への影響力を持っていたと思われます。

一方、コシェルニーは長期の怪我明けというのもありますが、ムスタフィよりもパフォーマンスが低かったと思われます。


 以上を前提にムスタフィの放出の是非について検討すると、ホールディングが長期離脱から復帰していない現在、アーセナルにムスタフィと同等又はそれ以上のパフォーマンスが確実に期待できるセンターバックはソクラティスしかいません。

 ファンの根強い人気が高いコシェルニーですが、昨シーズンはムスタフィよりもパフォーマンスが低かったと思いますし、さらに歳を重ねたことを考えれば、今シーズンもムスタフィよりもパフォーマンスが低くなる可能性が高そうです。しかも、移籍を希望して遠征を拒否するなどしており、残留させた場合の精神面を考えるとムスタフィ以上のパフォーマンスを発揮する可能性はさらに低くなりそうです。

 次にチェンバースは、昨シーズンのレンタル先での活躍を聞く限りは、ミッドフィルダーとしては期待できますが、センターバックとしては未知数と言わざるを得ません。

 マヴロパノスは、昨シーズンの出場試合が少なく、どのくらい活躍できるかは未知数ですし、怪我がちで必要なときに試合に出れるのかすら不安です。


 CBはバック4ですら2名必要で、ホールディングが復帰し昨シーズンレベルまでパフォーマンスを上げるまでは、ソクラティスのほかにもう1名はCBが必要であり、昨シーズン以上のCBのパフォーマンスを期待するのであればムスタフィと同等又はそれ以上のパフォーマンスを発揮することがほぼ期待できる選手をとる必要があります。そうでなければ、ムスタフィを放出することで逆にディフェンスの質が下がることも大いに考えられます。しかし、今獲得できるようなCBは現チームにおいて戦力外かせいぜい4番手くらいであり、とてもその中にムスタフィと同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮することがほぼ期待できるといえるような選手がいるとは思えません。

 

 現在、ムスタフィの残り契約期間は2年となっていると思われます。残り2年のタイミングで契約延長するか売却するかが現フロントの基本的考えです。しかし、これはアーセナルが契約延長したい有望な選手の場合にはよく当てはまると思いますが、特に契約延長しなくてもいいような選手であればこだわる必要はないと思われます。というのも、契約延長にこだわらなければ、新契約の給与交渉で不利になるわけではないからです。

 この点、ムスタフィは、ファンからブーイングをされるほど人気がなく、アーセナル側は、現行レベルの給与であってもムスタフィと契約延長交渉をするとは思えません。したがって、残り2年にこだわらずに、今シーズンはムスタフィを売却せずに残留させていいと思います。


 現実的な理想をいえば、まずは、戦力として期待できるとは言い難いコシェルニーを放出し、買い取りオプション付きでCBをレンタルで獲得して今シーズンの戦力を整えるべきです。

 そして、今シーズン中にホールディングに完全復活してもらうか、チェンバース、マヴロパノス(チェンバースは身長的にミッドフィルダーなので、できればマヴロパノス)、さらには買い取りオプション付きで獲得できた新CBを優先的に起用してムスタフィと同等かそれ以上に成長してもらい、ムスタフィを4番手に押しのけてもらいたいです。

 そうすれば、サリバの加わる来シーズンはリスクなくムスタフィを放出できる状況になります。また、ムスタフィとしても、来年でもまだ28歳であり、契約最終年に出場機会がないにもかかわらずアーセナルに残って市場での自己評価を落としたくないはずで、4番手以降であることが明らかであれば移籍する気持ちが大きくなるはずです(これに関連し、ムスタフィは、昨シーズンはアーセナルのCBとして最も多くの試合に出場しており、特に高額なCBの補強がなければ今シーズンも多くの試合に出場できる可能性があるとムスタフィ自身思っているはずであり、現時点で移籍することにメリットを感じないはずです。)。

 

 以上のとおり、アーセナルはムスタフィの売却先を探しているとのことですが、私は現時点でムスタフィを売却して新戦力を獲得するのはリスクが高すぎ、得策ではないと思います。ムスタフィを残留させた上で、レンタルで新戦力を獲得するのが一番無難だと思います。

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